青柳のお話
春は多くの貝が旬となります。
とりわけ青柳はとても美味しくなります。
青柳にはいつも申し訳なく思っているのですが、和名は馬鹿貝です。
馬鹿貝は今日ここで沢山取れたから、翌日またそこに取りに行くと全く取れません。
すぐに場所を変える貝なので場替え貝(ばかえかい)と呼ばれていましたが
いつの頃からか転じて馬鹿貝となってしまいました。
名前の由来は他にも幾つかのあるのですが、私は馬鹿貝に敬意をもってこの説を支持しています。
現在は町村合併で市原市となってしまいましたが、以前は青柳村があって馬鹿貝が沢山取れました。ここでむき身にして出荷したので青柳と呼ばれるようになりました。
今でも殻付きは馬鹿貝、むき身は青柳と区別しています。
あまり知られていませんが天ぷらのかき揚げに使う小柱は馬鹿貝の柱です。
二つの柱があって小さい柱が小星(こぼし)と呼ばれ主に天ぷら屋さんが使用します。
大きい柱は大星(おおぼし)と呼ばれ主に高級お寿司屋さんが使用します。
当店では高価で使用できません。誠に申し訳なく思っています。
(小星も大星も今では死語となってしまいました。悲しいことです。)
いつか馬鹿貝が沢山集まって国会議事堂へ抗議のデモ行進をするかもしれません。
「我々は馬鹿貝という名をお利口貝に変更することを要求する。」と書いたプラカードを
沢山掲げて。
店主敬白(軽薄?)