サンヤホー

秋祭りのお知らせを見かけるようになりました。
私が生まれ育った街にもお祭りはあります。
全市のお祭りなので会社も学校もお休みとなり街はお祭り一色になります。
どの町内にも大人神輿と子供神輿は揃ってあります。
大きな町内となりますと山車もあります。
昼間は中学生までが担ぐ子供神輿が、夜になると高校生以上が担ぐ大人神輿が、皆一斉に街に繰り出してきますからそれはそれは賑やかです。
掛け声は「ワッショイ、ワッショイ」ですが、少し違うのは担いで進んで行く途中、四辻(四つ角、交差点)にかかると四辻の真ん中で二度回ったあと、「サンヤホー!」と言いながらお神輿を高々と掲げます。そしてまた担ぎながら進んで行きます。どんな小さな四辻でもこれをします。(三叉路ではしません。)
訳もわからず発していた「サンヤホー」ですが、高校生になり大人神輿を担ぐようになり夜少しお酒の入ったおじさんに「なんでサンヤホーって言うんですか?」と聞いてみました。
「四辻にはな山の神様、野の神様がお祭りを観てごさるんや(いらっしゃる)。
だから四辻にかかると二度回り、一度サンヤホーと言うんや。神社でお参りするとき二度柏手を打って一度礼をするだろ、二度回るのは二拍や一礼はサンヤホーや、サンヤホーは山野豊と書くんや。山も野も豊かに実りました神様おおきに(ありがとうございます)というお礼の言葉や。」

私が住んだ小さな町内は子供が少なくなり、大人も高齢者が多くなってきたため
「神輿は飾り付けはするけれど担ぐことは無くなったね。子供たちのためにこの近所を子供神輿を少し担ぐぐらいだね。お前の頃が一番人数が多くて賑やかだったね。」と永く町内会長を務めた長兄が寂しそうに話してくれました。 :
店主敬白(軽薄?)