笑顔と暖かい言葉に励まされて
35年前の8月26日「すし屋のだんらん」は誕生しました。 カウンター8席だけの小さな小さなすし屋です。 そんな小さなお店でも夢と希望が一杯というより不安一杯での船出でした。見知らぬ土地、見知らぬ人たち、飲食店勤務未経験のあや子さんと。
35年前の今頃は仕入れをお願いするため修業時代お世話になった築地魚市場の仲買人さんのお店に伺っている頃です。
小物やさん(鯵、鯖、貝などを扱うお店です)に伺いました。 「たーちゃん(私の修行時代の愛称です)良かったね。頑張ってね。銀寿司さんを辞めてから顔を出してくれないから心配してたんだよ。 たーちゃんならいつか必ずお店をだしますと言ってくると思っていたんだよ。 なーに魚だったら店にある物はなんでも好きななだけ持って行きな。無い物があったら倅に言って揃えてもらいな。伜には俺からよく言っとくから 金の心配なんかしなくていいから。開店した時は何かと物入りだ。払えるようになったら少しずつでいいから払ってくれればいいから。 たーちゃんから取りっぱぐれたら俺の見る目がなかったと思うだけだから気にしなくていいから。良かった良かった 俺の目の黒いうちで。」
まぐろ屋さんに伺いました。 「たーちゃん良かったな。鮪は俺に任せろ。ところで買出しにはどうやって来るんだ。 銀寿司の時のようにバイクで来るのはやめろよ。これからはかーちゃんと二人っきりで店をやるんだからな。お前がバイクで怪我でもしたら店を休まなきゃならないだろ。それでやめちゃったすし屋を俺はいくつも見ているからな。 電車で来い。買ったものは配送を頼め。そのほうが体が楽だ。そうしろ。配送料(当時は月額18000円でした)はお前が払えるようになるまで俺が払ってやる。 今若い者に案内させるから配送会社へ頼みに行ってこい。 ついでに暖簾屋に寄って暖簾をたのんでこい。開店の前日に俺が開店祝いで届けるから。良かったな頑張れよ。桜上水一番の鮪を入れてやるからな。」
小物やさんのご主人は故人となられましたが二代目さんに良くしていただいています。
35年も経っているのに開店記念日が近づくと鮮明に思い出すのです。
ご主人たちの笑顔と暖かい励ましの言葉と青い空を。
店主敬白(軽薄?)
PS もし自慢話のようにとれましたら申し訳ございません。他意はありません。